動物を飼うということ
8歳の冬にゴールデンレトリバーを家族に迎えて18歳半まで一緒に過ごし、22歳の春から25歳まで一緒に動物を過ごした私から、動物を飼うことに対しての気持ちと、これから動物を飼おうとしている人へのメッセージのつもりで書いた意見文です。
長いですが、お目通しください。
プロフェッショナル仕事の流儀を毎回録画してるのだけど、やっと今日、田園調布の獣医:田向先生の回を見た。
最後に「動物は可愛い時から老いて病気になって死んでいく縮図」と言っていた言葉が刺さった。
私もそう思う。
Dog Yearとも言うけど殆どのペットは飼い主より先に死ぬ。
自らの命を持って飼い主に命の大切さや尊さ、人間の私欲で他の種の生き物を飼うことに対する責任を教えてくれる。
最近テレビCMで「10年後20年後も飼えますか?」という、「飼うからには責任を持って飼え」といメッセージを送っているものが多いように、最近、飼い主が保護施設や保健所に連れ込む案件が多いらしい。
保健所に連れて行かれた動物で里親が見つからなかったらどうなっているかご存知だろうか。
保護し続けてくれる施設もあるけれど、里親が見つからなかったら炭酸ガスが充満する箱に閉じ込められて殺されたり、死に至る薬を注射されて安楽死させられる場合もある。
想像してほしい。
ただ生きてるだけで殺される動物の気持ちを。
自分がその動物の立場ならあなたは何を思う?
家族を殺すってことだと思うが、なぜそんな頃ができるのだろう。
言いたいことは、
死ぬまで飼うのが責任。
やむを得ない事情で飼えなくなったなら、責任を持って大事に生きてくれる人を探して託すところまでが責任。
その責任が果たせないなら飼わないでほしい。
命が尽きるまで面倒を見る責任と義務を果たして初めてカワイイや素敵な生活を得る権利がある。
私が22歳の時に我が家にやってきたキャバリアは推定3歳。
祖母が公園の体操仲間で犬を飼えなくなった人が保健所に連れて行こうと思っているらしい。うちで飼っていいよね?って。ほぼ事後承諾だった気がする(笑)
高齢のご夫婦で主に旦那さんが可愛がっていたのだけれど、犬が苦手な奥さんには懐いていなかったらしい。
旦那さんに先立たれた奥さんが飼えないから保健所に連れて行く前にダメ元で犬好きで2世帯家族のうちの祖母に相談してくれた。
引き取った22歳の頃はその奥さんに対して無責任な人と思っていたけど、今は犬を飼えそうな人に相談して里親を探してくれたことで責任を果たしたと思えている。
先ほどから責任とたくさん言っているけれど、
動物を飼うことを恐れないでほしい。
動物はたくさん大切なことを教えてくれる。
愛情をかけたら、愛情で応えてくれる。
意地悪したら、牙を剥いてくる。
自分の鏡となり、自分のいいところ、よくないところを教えてくれる。
動物は人間の子供のように手が離れることはない。
いくつになってもご飯をあげたり、散歩に連れて行ったり、体を洗ってあげたりしないといけない。
知能レベルも犬なら犬種によっては人間の3歳レベル。
手がかかるが簡単な意思疎通がはかれる。
意思疎通がはかれる分、可愛さが大爆発するし、3歳児並みの知能なのでイタズラをしたりしてイラッとさせられることもある。
本当の人間の家族と同じなのだ。
そんな可愛さが大爆発している手のかかる年頃の子供を家が狭いからという理由で殺されると分かっている施設に送り込むことができますか?
私はできない。
きっとあなたも同じ選択をすると信じている。
22歳の時に家族に迎えたキャバリアは今も実家で生きている。
彼は今は推定15歳。
すっかり老化していて、
目は白内障で見えないし、
耳は遠くてほとんど聞こえていないし、
犬なのに鼻が効かなくなっているし、
頭もボケてしまって若い頃はしなかった夜鳴きもしている。
実家の家族は手を焼いているが、それでも大事に育てている。
実家ではこのキャバリア君が旅立ったらもう動物は飼わないと言っている。
なぜならすでに60代半ばの両親はこれから20年間、動物の世話をし続ける自信がないから。
動物の世話をするには飼い主が生きているだけではダメ。
飼い主が動物の世話ができるほど元気でいることが必須条件。
この条件を20年間クリアし続ける自信がないなら飼うべきではない。
我が両親ながら賢明な判断だと思う。
子供の手が離れ、老後に動物を飼おうとしている人は、20年後の自分の健康状態も加味してよく考えてから飼ってほしい。
そして、若いファミリーに心得ていてほしいことは
「カワイイ家族との素敵な生活」を手に入れ、継続するためには、ヒト・モノ・カネがいること。
ヒト・モノ・カネが継続して準備できるのか、よく考えてほしい。
それが準備できれば、あなたにとってもあなたの家族にとっても、この上なく尊くて素敵な経験を得られることだろう。
かく言う私は、我が子が小学生になる頃に犬を飼いたい。
もちろん夫の理解・協力が必要不可欠なので、そこは引き続き相談中だし、最終的には飼う時の状況にもよるのだが、飼いたい!
我が子に動物を飼うことで命の尊さや他者への思いやりなどを知ってほしいし、世話することでお世話のスキルも磨いてほしい。
人間だけでの生活では得難い経験をさせたいと思っている。
ヒト・モノ・カネはかかるが、責任を持って飼うならプラスの影響しかないと思っている。
田向先生は画像のウサギの飼い主ファミリーのお嬢さんが自分の家族を持ち、動物を飼う時に今回の経験を生かして動物を飼うことが何なのかを彼女の子に伝えていってほしい、とおっしゃっていた。
これから動物を家族に迎えたいと思っている人は、動物を飼うことのメリットはもちろん、コストなど大変な面もしっかりシミュレーションした上で冷静に判断してほしい。
私欲で命を飼うのだから、その命が尽きるまで面倒を見るのが責任。
私も含め、動物を家族に迎えたいと思っている人は全員、責任を全うする義務がある。
義務を果たして初めて尊くて素敵な生活を手に入れる権利が生まれることを忘れてはならない。